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A4一枚堂/ file:0034 -『スジボリ道』追加もしくは『超高層電流スジボリ道』-
■ようこそ、ウザイページへ、コングラチュレイション(←利根川先生/今ごろ……)。つーこって、自分で選択した以上、面白くなくても、後悔しないように(笑)。

■で、筋彫りなんですが、かならずしも難しいモノではないです。つーか単んーに『簡単な筋彫りと難しい筋彫り』があるんですな。

■その人の芸風やら作るモノにもよるんですが、プロの原型師レベルだと、だいたい筋彫りの技法そのものだけで10通り以上の方法を知ってます(←見たんかい?&数えたんかい!?)。

■さらに下地の材質(レジンキャスト、プラ板、ポリパテ、ファンド等々)再現しようとしている筋彫りの形態(自動車のドアみたくパカっと開くとこから、フィギュアのジーンズの縫い目、二重まぶた等々)さらに作ろうとしてるスケールの大小〜と、一口に『筋彫り』と言ってもいっぱい要素がありまして、それぞれの組み合わせ〜とかを考えると、まあガンコな親爺なら『そんなもん、教えられるんじゃね!』ちょっと気のいい人でも『一言では説明できないなあ』とかなるわけですな(笑)。

■で、そこらを踏まえた上で、簡単な順番にセルフ・テクニック(もしくは小技)をちょこちょこ披露していきましょう

1.デザインナイフで刻む
■まず、一番簡単なのは、平面に直線の筋彫りです。長さは短め。つーかナイフの刃より短いくらい?素材はレジンキャストが柔らかくていいですな。方法としてはもお簡単。デザインナイフでV字断面になるようにミゾを切ってやるだけ。このとき↓図みたく小口面に対しての場合だと、刃は前後に動かす必要すらなくて、上から押しつけるだけでいいです。



2.ちょっと長めの場合
■刃の長さ以上の直線や、↑のよーに小口面じゃないときは、刃先を使って同じようにV字ミゾを切ります。このとき最初っから斜めに切り込むのは難しい(つーかヨレる)ので、まず1本目は垂直に。もう一方をそれに対して角度をつける感じで。

■この辺の『刻む』工作でミソになってくるのが素材の硬さと刃先の切れ味でして、市販のインジェクションキット(特に国産の硬めのプラ)だと、たったこれだけの作業が、(柔らかくって適度なねばりのあるレジンキャストにくらべると)イキナリ難しくなります。また刃先もある程度切れ味のあるモノのほうが具合がいいですな。



3.さらに長い場合
■これで平面に直線〜の場合は、単に定規をあてましょお。プラスチック製だとジャキジャキ削れるので(笑)当然金属製のモノ。ちいさいほーがとりまわししやすいです。

■曲面上で定規を当てづらい場合、あるいは直線でもそれほど精度がいらない場合、私はフリーハンドやっちゃいます。これまた何種類かやり方はあるんですが、まずは鉛筆(まあシャーペンですが)でアタリをとって、それをナイフの刃先で注意深くなぞる方法(これを先のV字の1本目として、反対側を刻む)。

■逆に『えいや!』と思いきりよくひいちゃう方法、あと裏技ですが刃を全部ベタリと接地させて、その刃そのものを一種のガイドとして刃を引く(あるいは押す)方法も使います。それの応用(?)で円筒状のモノに周方向のラインを引いたり。



4.掘り広げる式
■ここまでは、基本的にミゾを『切り刻む』方式でしたが、アタリの細い筋をゴリゴリと掘り広げる方法もあります。素材がレジンの場合、ねばりがじゃまをして案外うまくいかない(断面がギジャギジャになっちゃう)んですが、プラあるいはポリパテには相性がいいです。

■工具はこれまた人によって違うんですが、私はカルコ(ってゆー大工道具。安い)の針をメインに使ってます。これはさすがにガイドなしでは使いづらいので、定規やテンプレートをあてて、ゴリゴリと掘ると。

■また先端は針なので、方向性がない〜って利点を生かして、曲線、あるいは円(丸い円形のハッチとか)を掘るのにも使用。先の『レジンには向かない〜』って事実もあるんですが、この方法で掘っておいて、ミゾの内面のギジャギジャはサフェーサーとかで馴らす〜ってワザも。





5.フリーハンドで掘り広げる
■えー、これはとっておきの裏技。この掘り広げる方式の代表的な工具ってのがPカッター(ってゆー専用工具。もとはアクリル板のカットに使う)なんですが、これが実は難しい。てゆーか、さすがに単能工具だけあって、プラの、それも広い平面で定規を当てて直線をひく〜ってな用途には最適なんですが、異種素材だったり予期せぬ気泡なんかに遭遇する原型製作なんかだとボロっと欠けたり、刃がザックリ食い込むんだりしがちなんですな。

■で、この原理(刃のV字面で切削する)だけをいただくべく、開発した秘儀が↓。

■デザインナイフ(刃先がダメになったモノでOK)の刃先をペンチでつまんでペキっと折りますと、その断面がPカッターの刃先と同じになるので、これを普通のPカッター(手前に引いて使う)と逆に押して掘っていきます。先に普通の刃先で普通につけたアタリをガイドにするといいですな。

■Pカッターより刃の角度が鋭い分深くシャープな筋掘りになるのと、じわじわ押していくので、力加減も微妙にできます。もちろん1回でやんなくて、必要な回数重ねて深くしていきます。




6.掘る系作業のフォロー
■上記の掘る系作業は、刻む系作業にくらべると、どーしてもミゾの両側や基準面が荒れがちなので、その面を最後にペーパーで仕上げる作業が必要になってきます。ほいで、そのときの削りカスがミゾに詰まるので、それを除去すべく、最後にもう一回ミゾをなぞったり〜ああ、キリがないよぅ……。

■また、表面仕上げとの兼ねないもあるので、いつでも使えるワザではないんですが、エナメルもしくはラッカー薄め液で最後に表面全体をぬぐってやって、首の皮一枚でこびりついてるギジャギジャを溶かして取り去る〜ってマメ知識も〜



■で、実際の場面では、この辺の技を適宜組み合わせていくわけですな。またここではシャープなスジ掘りをメインに言及してますが、場合によってはダルな、もっちゃりしたラインが必要になることも〜。そーゆーときはペーパーで丸めたり、サフェーサーで甘くしたり〜とかもしますね。

■あと、これは自分でもうまく出来ない(つーか、たぶんコツコツやるしかない)んですが、(手技のレベルで)おそらく一番難しいのは曲面に曲線。しかも長くて、均一なラインでしょうねえ。ウルトラマンの模様とか。

■つーこって、筋掘りセルフ・テクニック。まあこんな感じで。そーとーな量(やや知恵熱出るくらい)書きましたが、これでも実務レベルで自然に対処してるコトの半分も語れてないとは思うです。てゆーか、この辺をいかに(わかりやすく&要領良く)言語化、文書化していくか〜ってのが、筋掘りニ限らずなんでもそーなんですが、マニュアル化のキモなんですがねー。

■以前BBSかなんかでも書いたんですが(&もお早くも見つからないんですが/笑)この手の経験則に則るノウハウって、実際パラメーターが膨大ですから実際問題『他人に伝える際にかかる手間』がある時点で『それを教えることによって後々省かれる労力』を上回っちゃうんですよねー。

■前の会社で、プラズマトーチでセラミックとかを溶かして耐熱コーティングを吹き付ける技術の開発とマニュアル化をやってたんですが、ある程度コンピューター制御が入っているにもかかわらず、膨大な要素

(プラズマガスをプライマリとセカンダリの2系統、それぞれ何を使うか?流量&圧力、プラズマ電流&電圧、スプレー距離、移動速度、使うセラミックの種類、粉末のサイズ、製法等々〜)


が絡んでくるもんで、もお先輩とかは『奥が深いんだよ!』の一言(笑)の元に投げてたからねー、教えることを(笑)。でも、すぐわかったからねー、その『教えるのが、実は一番大変』って事実も……。

■ただまあ、こーゆーキッカケとゆーか、ある意味ピンポイントな聞かれ方じゃあないと(例えば『フィギュアをもっとかわいく作りたいんですが?』とかだったらもっと困る/笑)こーやって、枝葉を広げることも出来なかったのと、いちおーこっちも『How toマニア』の端くれとしての意地もあるので(笑&『自分で考えてやれ!』のセリフは敗北だと思ってます、教える人間としてわ/←そーか?)これからもドシドシ!ボクにウザイ事を言わせるメールとか待ってるです。(←道(タオ)〜……)

タイトル 作成日 分類 キーワード 評価
スジボリ道 2000.03.18 How to 利根川先生
ライリー先生
モトのHJの記事のほーが100倍わかりやすいよっ!(笑)

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